毎日残業続きで、家に帰るのはいつも遅く、帰ったらご飯とお風呂を済ませて1日が終わってしまう、そんな日々を過ごしているエンジニアの方は多いのではないでしょうか。
そして、遅くまで仕事しているのに、成果が出せず、周りからもこれといって評価されていない、そんな悩みを抱えていませんか?
この記事では、越川慎司さん著の『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』を紹介します。
本書では、著者のパートナー企業で、トップ5%の社員の行動習慣を残りの95%社員に実践したもらい、効果があって再現性がある方法が解説されています。
残業沼から抜け出したい、残業しなくてもしっかりと成果を上げて、しっかりと評価されたいという方は、是非読んでください。
エンジニアの残業が減らないのは効率重視しすぎ?
普段の仕事で、プレゼン資料作成や報告資料作成など作成時間が、2時間短縮できれば効率よく仕事ができたと認識するのではないでしょうか。おそらく95%社員はそう認識することでしょう。
しかし5%社員の考えは異なります。
「作業効率」という言葉自体の定義をクリアにしないと、成果につながらない作業をすることに充実感を覚え、長時間労働から抜け出せなくなると考えているのです。
出典元:「AI分析で分かったトップ5%社員の時間術」
5%社員に「仕事効率が高いとき」についてインタビューしたところ、「最も効率が高いと感じるのは、成果につながらなかったり、目標達成にインパクトを与えなかったりする作業をやめたとき」だと答えていました。
出典元:「AI分析で分かったトップ5%社員の時間術」
目標達成のために、インパクトを与える作業を選択し、そこに集中してパワーをかけて作業を実施することで、最大の効果を生む、そういった考えを大切にしているのが、5%社員というわけです。
ではどうやったら、目の前にある作業が、「インパクトを残せる作業」なのかを判断できるようになるのか?
5%社員は、
週に1回15分の内省
出典元:「AI分析で分かったトップ5%社員の時間術」
を通じて、成果があったのかを確認しています。
つまり、週に1回、15分ほど、自分自身の心と向き合い、自分の考えや行動について省みることで、成果に繋がる仕事であるかどうかの見極める力を向上させているのです。
見極める力自体が先天的なセンスではなく、普段の地道な振り返り作業で知見を蓄えていくことが必要ということですね。
残業を減らすための意外な時間術
プログラミングや設計作業など、何か作業を始めると仕事が乗ってきてモチベーションが高まり、つい長く作業してしまうことってありませんか。
この時、ドーパミンの分泌によって脳が作業を続けるように信号を出しているのです。
これを「作業興奮」と言います。作業興奮に襲われると、作業を続けること自体が快感になり、作業時間が延びてしまいます。また興奮状態では判断力が鈍り、目的も見失いやすくなります。
出典元:「AI分析で分かったトップ5%社員の時間術」
調子がいいのに、作業を途中で止めてしまったら、何だかもったいないし、効率が悪くなると思いますよね。
でも大丈夫です。人間は行動が制限されると、逆に反発心からそれをしたくなる心理が働き、作業が中断していても、途中で止めていた作業を終わらせたいという思いから、処理スピードを落とすことなくこなることができます。
休憩した後でも集中力を保ったまま仕事が継続できるのです。
つまりこまめに集中して無駄な興奮状態を抑えて、集中力を長く保てるように工夫しているのが5%社員です。
5%社員と95%社員の違いはどこにある?
本書では、ビジネスパーソンを約2万人を調査対象とし、AIによる分析を行い、95%社員は次の3つのパターンに分かれることをAIにより分析しています。逆に5%社員には共通して下の表の6つの行動パターンが見られることをつきとめました。
95%社員 | 5%社員 |
---|---|
①スロースタートパターン | ①仕事を受けてから初動までが早い |
②相手(上司や顧客など)とアウトプットのイメージを合わせる | |
②慎重さが負の連鎖につながるパターン | ③ゴールから逆算して、必要最低限のプロセスを決める |
④プロセスにおける作業を小分け(細分化) | |
③スタートダッシュで息切れパターン | ⑤長時間作業をせず、こまめに休憩する。 |
⑥期限より少し早く完了させて、次の仕事の初動も早い |
95%社員の特色
①のスロースタートパターンの人は、いつもやる気が出ずに、なかなか仕事のスタートがいつも遅い人です。
②の「慎重さが負の連鎖につながるパターン」の人は、仕事をする時にいろいろと不安な部分が出てきて、その度に確認と修正を何度も繰り返してしまい、結果的に、仕事が前に進まない人です。
③の「スタートダッシュで息切れする」パターンの人は、最初に頑張りすぎて途中で集中力が途切れてダラダラしてしまう人です。
5%社員の特色
①初動がとても速い。仕事受けたら、すぐにスタートダッシュ。
②アウトプットのイメージを合わせることで、齟齬をなくし手戻りを減らす。報連相をうまく活用し、相手と完成イメージを合わせてから作業に着手。
③段取りを組むのがうまい。あと何日あるから、いついつまでにこれを終わらせる、などプロセスを組み立てる。
④作業を小さく分解し、隙間時間を利用して少しずつ処理して終わらせる。
⑤集中力を保てるように、より頻繁に休憩を取り入れる。
⑥余裕をもって作業を終わらせ、十分にチェックする時間を確保し作業ミスの確認も怠らない。
どうすれば5%社員のやり方を再現できる?
95%社員はどうすれば、5%社員がやっている仕事のやり方を再現することができるのか?
本書では、「ちょいスイッチABC」により5%社員のやり方を再現できると書かれています。
「ちょいスイッチABC」はこうして押す
Accept | 過去の浪費を受け入れる ポイント1 よかれと思って続けてきた 浪費行動を否定せずに 受け入れる ポイント2 過去の浪費活動から 改善ポイントを探す |
Build | 行動を早め、継続する仕組みをつくる ポイント 仕事前のルーティンを持つ |
Concentrate & Continue | 成果につながる作業に集中して継続する ポイント1 感情コントロール ポイント2 作業ショートカットの活用 (ITツールを使いこなす) |
Accept
人間は現状維持バイアスに囚われて変化を好みません。そのためこれまでよかれと思って続けてきた作業をなかなかやめることが出来ません。
そこで、過去を受け入れて問題を改善していくために、週1回15分の内省が役に立ちます。普段の生活では、日々の仕事に追われ問題点を見つけ出すことが難しい状況にあります。
週1回15分の短い時間でもいいので、時間を取って考えることが大切です。過去を振り返ることで、時間とエネルギーをかけるべき作業を見出すことが可能になります。
Build
トップ5%社員は、やる気をあてにせず、仕事が進められる仕組みを作っています。
「その儀式的な行動をすれば仕事をすぐに始められる」という自己暗示をかけているようです。
出典元:「AI分析で分かったトップ5%社員の時間術」
つまり、
・会社の近くのカフェでコーヒーを飲んでから出社する
・出社したら机の上を片付けてから作業に取り掛かる
など、毎日、仕事前にできるルーティンを作っています。
限られた時間で仕事量を増やすには、考える時間よりも体を動かす時間を増やすことが多くなければなりません。
5%社員は、仕事に取りかかるまでの時間をできる限り短縮して、行動量を増やすルーティンの仕組みをつくっていた。
出典元:「AI分析で分かったトップ5%社員の時間術」
Concentrate & Continue
トップ5%社員は、目標達成には、集中と継続が必須だということを認識しており、集中力を維持するための工夫をしています。
そのため、最後の「C」では、感情のコントロールをしたり、作業のショートカットを活用しています。
誰でも仕事に対して不安やイライラを感じてしまうことは日常的に起こります。
こういった負の感情は、エネルギーを浪費させてしまうため、集中力を維持するには、感情をコントロールする必要があります。
普段からストレスをためないように、行き詰ったら休憩したりリラックスするようにしましょう。
負の感情のエネルギーを浪費は、仕事の邪魔だと認識することが大事です。
まとめ
現在では働き方自体に多種多様な価値観があります。仕事で出世して昇進したいと思わない方もいると思います。
そんな方でも本書の内容を実践することで、残業を減らし、仕事とプライベートの両方を充実させることでより充実した人生を送ることができます。
①トップ5%社員は、効率よりも効果を重視
仕事の効果を上げるために、目標達成にインパクトを与える作業に多くの時間を使っている。
週1回15分の内省により、本当に成果につながっているか、改善点がないかを考える。
②トップ5%社員の時間術
作業がのってきても途中で止めることによって、作業興奮を防ぐ。
集中力を長く維持して生産性を上げている。
③トップ5%社員の特異性
仕事を受けてから初動までが早い。
相手(上司や顧客など)とアウトプットのイメージを合わせる。
ゴールから逆算して、必要最低限のプロセスを決める。
プロセスにおける作業を小分け(細分化)。
長時間作業をせず、こまめに休憩する。
期限より少し早く完了させて、次の仕事の初動も早い。
④トップ5%社員のやり方を再現する方法
(ちょいスイッチABCの活用)
A→accept過去の浪費を受け入れ、改善ポイントを探す
B→Build仕事前のルーティンを作り初動を早める
C→concentrate/continue感情のコントロール、作業ショートカットの活用
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